金属部品の製作では、切削加工だけでなく、研磨、焼入れ、表面処理といった追加工が必要になるケースが多々あります。
しかし、これらの工程を別々の業者に依頼すると、手配の手間や納期の遅延、品質管理の複雑化といった問題が発生しがちです。
本記事では、金属部品の追加工を効率的に依頼するための業者選定ポイントと、各工程の基礎知識について解説します。
追加工が必要になる主な場面
切削加工後の仕上げ工程
マシニングやフライス加工で形状を作った後、さらに精度や表面品質を高めるために追加工が必要になります。特に製造業の自動化設備では、摺動部品や精密な位置決め部品に対して、μm単位の精度が要求されるため、研磨加工が不可欠です。
強度・耐久性の向上
部品の使用環境に応じて、耐摩耗性や硬度を高める必要があります。ロボットティーチング用の治具や、繰り返し使用される金型部品などでは、焼入れ処理による硬化が一般的です。
外観や防錆対策
製品の見た目を良くしたり、錆を防止したりするために、メッキやアルマイト、塗装といった表面処理が施されます。愛知のロボット関連企業では、清浄度の高い環境で使用される部品に対して、適切な表面処理が求められます。
研磨加工の種類と選び方
平面研磨
平面研磨は、文字通り平らな面を高精度に仕上げる加工方法です。平面研削盤を使用し、回転する砥石で工作物の表面を削り取ります。
平面研磨が必要な場面
- 基準面の精密仕上げ(平面度0.01mm以下)
- 平行度や直角度の確保
- 表面粗さの向上(Ra0.2~0.8μm程度)
- 組立時の密着面の仕上げ
自動化設備の取り付けベースや、精密測定用の定盤などに使用される部品では、平面研磨が欠かせません。
円筒研磨
円筒研磨は、丸棒状の工作物の外径を高精度に仕上げる加工方法です。円筒研削盤を使用し、回転する工作物に砥石を当てて研削します。
円筒研磨が必要な場面
- シャフトやピンの外径仕上げ
- 真円度や円筒度の確保
- ベアリングの嵌め合い部分の精密加工
- 表面粗さの向上
ロボットアームの関節部分や、精密な回転機構に使用される部品では、円筒研磨による高精度な仕上げが必要です。
内径研磨
内径研磨は、穴の内面を高精度に仕上げる加工方法です。細い砥石を使用して、穴の内側を研削します。
内径研磨が必要な場面
- ブッシュやベアリングハウジングの内径仕上げ
- 嵌め合い精度の確保
- 内径の真円度向上
- 深い穴の精密加工
焼入れ処理の種類と効果
高周波焼入れ
高周波電流による誘導加熱で、部品の表面を急速に加熱・冷却して硬化させる方法です。表面だけを硬くし、内部は靭性を保つことができるため、耐摩耗性と耐衝撃性を両立できます。
浸炭焼入れ
鋼材の表面に炭素を浸透させてから焼入れを行う方法です。表面硬度を高めつつ、内部の粘り強さを維持できるため、歯車やシャフトなどに使用されます。
ズブ焼入れ
部品全体を均一に加熱・冷却する焼入れ方法です。部品全体の硬度を高めることができますが、変形のリスクがあるため、焼入れ後に研磨加工で寸法を整える必要があります。
製造業の自動化設備で使用される耐摩耗部品では、適切な焼入れ処理により寿命を大幅に延ばすことができます。
表面処理の種類と特徴
メッキ処理
電気メッキや無電解メッキにより、金属表面に別の金属層を形成させる処理です。
- クロムメッキ: 硬度と耐摩耗性の向上
- ニッケルメッキ: 防錆と外観の向上
- 亜鉛メッキ: 安価な防錆処理
- 金メッキ: 導電性と耐食性の確保
アルマイト処理
アルミニウム材に対して行う陽極酸化処理です。表面に酸化皮膜を形成することで、耐食性と耐摩耗性を向上させます。カラーアルマイトにより、様々な色を付けることも可能です。
黒染め処理
鉄鋼材料の表面に黒色の酸化皮膜を形成させる処理です。防錆効果は高くありませんが、光の反射を抑える効果があるため、測定機器や光学機器の部品に使用されます。
塗装
最も一般的な表面処理で、防錆効果と外観の向上を目的とします。粉体塗装や電着塗装など、用途に応じた様々な方法があります。
追加工業者を選ぶ際の5つのポイント
1. ワンストップ対応の可否
切削加工から研磨、焼入れ、表面処理まで、一貫して対応できる業者を選ぶことで、以下のメリットが得られます。
- 複数業者との調整業務が不要
- 工程間の輸送時間とコストを削減
- 品質トラブル時の責任所在が明確
- トータルでの納期短縮が可能
金属加工を愛知で行う企業では、部品1つに対して複数の加工工程が必要になるケースが多く、特にロボット製造現場では単品や小ロットでの追加工依頼が頻繁に発生します。金属加工の特急納品ならイレイズグループのようにワンストップで対応できる業者であれば、加工の特急対応も含めて柔軟に対処できるため、製造業の自動化に必要な部品を効率的に調達できます。
2. 対応可能な加工範囲の確認
業者によって得意な加工と不得意な加工があります。依頼前に以下を確認しましょう。
- 対応可能な研磨の種類(平面・円筒・内径)
- 焼入れ処理の種類と対応材質
- 表面処理の種類と対応材質
- 加工可能なサイズ範囲
- 精度の保証範囲
3. 納期対応力
追加工が必要になるタイミングは、計画段階で分かっている場合もあれば、加工後に問題が発覚して急遽必要になる場合もあります。通常納期だけでなく、特急対応の可否も確認しておきましょう。
4. 技術提案力
経験豊富な業者であれば、以下のような技術提案が期待できます。
- コストを抑えつつ要求性能を満たす代替処理方法
- 工程順序の最適化による納期短縮案
- 材質変更による加工性の改善提案
- 設計段階での加工しやすい形状へのアドバイス
5. 品質保証体制
追加工では、寸法精度だけでなく、硬度や表面粗さ、皮膜厚さなど、様々な品質項目の管理が必要です。
- 測定機器の保有状況
- 検査成績書の発行対応
- トレーサビリティの確保
- 不良発生時の迅速な再加工対応
発注をスムーズにするための準備
明確な仕様の提示
追加工を依頼する際は、以下の情報を明確に伝えましょう。
- 加工前の状態(材質、サイズ、前工程の加工内容)
- 要求する仕上がり状態(寸法、表面粗さ、硬度など)
- 数量と納期
- 用途(どのような環境で使用されるか)
余裕のある納期設定
特に焼入れや表面処理は、外部の専門業者に再委託されるケースも多く、時間がかかります。余裕を持った納期設定により、業者側も最適な条件で処理でき、品質向上につながります。
継続的な関係構築
一度信頼できる業者を見つけたら、継続的な取引関係を築くことで、優先的な対応や柔軟な相談が可能になります。
まとめ
金属部品の追加工は、製品の性能や品質を左右する重要な工程です。切削加工だけでなく、研磨、焼入れ、表面処理といった追加工を適切に組み合わせることで、部品の性能を最大限に引き出すことができます。
業者選定では、ワンストップ対応力、技術提案力、納期対応力を重視し、長期的なパートナーとして信頼できる業者を見つけることが重要です。効率的な追加工体制を構築することで、製品開発のスピードアップとコスト削減を同時に実現できるでしょう。